ISIDが日本企業のフィールドサービス部門をプロフィットセンターへと変革

進化するテクノロジーにより、今日のビジネス環境は日々ディスラプション(創造的破壊)が進行していますが、同時に新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックにより、新たな不確実性とリスクが生じているため、日本国内のフィールドサービス部門とって新たなビジネスチャンスの創出と売上増の達成は困難な状況であると言えます。こうした環境の中で信國氏と彼が率いるチームは変革へのサポートを推進しています。

「フィールドサービス部門をプロフィットセンターに生まれ変わらせることは、多くの日本企業にとって最優先事項になっていますが、必ずしも全ての企業がその方法を知っているわけではありません」と株式会社電通国際情報サービス 製造ソリューション事業部 戦略技術3部 部長の信國 治郎 氏は語ります。信國氏は長年フィールドサービス分野のソリューション提供やコンサルティング業務に携わり、自動車、医療機器、精密機械およびその他の業種で豊富な実績を持っています。信國氏は現在、ビジネストランスフォーメーションのプロセスを通じて、国内のフィールドサービス部門を指南しています。

日本企業だけが新たなビジネスチャンスを模索しているわけではありません。ServiceMaxによる最新の調査では、世界中の3分の1以上のフィールドサービス部門がサービスの売上増を最優先事項に挙げています。

「製品の修理や保全などフィールドサービスのオペレーションは、新たなサービスや売上増に役立つ顧客に関する重要なインサイトを提供してくれます」と信國氏は説明します。「しかしながら、日本の企業では紙の報告書を必要とする商慣習が根付いており、客先での顧客との会話時間を十分に取れないことや、社内での情報共有も容易ではないことに起因して、新規のビジネスチャンスを特定し、迅速に行動に移すことが非常に難しいことが問題となっています。」

株式会社電通国際情報サービス 製造ソリューション事業部
戦略技術3部 部長 信國 治郎 氏

信國氏と彼が率いる電通国際情報サービスの製造ソリューション事業部は、こうした問題の解決を使命としています。

ISID(電通国際情報サービス)は、単独の広告会社として世界最大の売上を誇る株式会社電通とGeneral Electric社とのジョイントベンチャーとして1975年に設立されました。パソコンもインターネットも無い時代に、GEの巨大なコンピュータセンターを国際ネットワーク経由で利用するという、革新的なサービスを日本の企業に提供することが狙いでしたが、今日のISIDは、製造業界向けの製品開発ソリューション、および金融・流通、サービス業向けのシステム開発で知られています。

「ISIDはここ数年、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、AI、ロボティクスを活用してサービスのライフサイクル管理に着目し、企業におけるカスタマーバリューの向上を支援しています」と信國氏は語っています。「例えば、ServiceMaxと協業することにより、ISIDは国内のとある製造業の顧客のリードタイムを約40%短縮するための支援を行いました。」

グローバル規模で事業を展開する医療機器メーカー、株式会社トプコンは、ISIDが導入したServiceMaxを活用することでサービスデリバリの標準化と改善を達成しています。トプコンのコアビジネスの1つは、眼科クリニックやメガネのアウトレット店舗で使用される機器の販売とサービスです。トプコンのフィールドサービス部門は、他のメーカーのように、こうした機器の検査と保全に紙ベースの報告や、数種類のレガシーソフトウェアアプリケーションに依存していたため、時間がかかり、時には社内でのデータ共有ができない状況でした。

「トプコンでは国内だけでも膨大な数の機器とサービスを扱っており、また管理する保証書も大変な数に上ります」と信國氏は続けます。「従来の紙ベースでのフィールドサービスデリバリの管理方法は、修理状況や保証内容の追跡、そしてサービスエンタイトルメントの判断をより困難にさせていました。トプコンは基本的にサービスを無償で提供している状態にあり、カスタマーバリューの向上の機会を逸していたのは言うまでもありません。」

トプコンはISIDが導入したServiceMaxを活用することで、フィールドサービスのオペレーションを自動化し、顧客との全てのやり取りやリクエストをクラウドで一元的に追跡、記録するようにしたことで、サイクルタイムを短縮し、国内のリードタイムを39%改善することができました、と信國氏は説明しています。また、ServiceMax導入後に海外でのオペレーションのパフォーマンスも改善され、トプコンの米国支社ではサービスの売上が10%増加し、生産性が30%向上しています。

ISIDは引き続き新たに強力なツールを開発し、国内の組織がサービスライフサイクルの管理を改善するとともにカスタマーバリューを向上させ、変化の速いビジネス環境で勝ち抜くために支援していきます。

「2020年の初頭、ISIDは広範な業種にAIサービスを提供することを目的として、新たにAIトランスフォーメーションセンターを立ち上げました」(信國氏)。「過去数年にわたり蓄積された最新のAI関連の技術やリソースを元に、そしてAIのスタートアップ企業や学術機関との緊密な協業により、ISIDはビジネスプランニングや新製品開発、および問題解決を支援していきます。」

ISIDのAIに対するフォーカスはまた、異業種間をまたいだクロスイノベーションの加速、および創造的破壊が起こっているビジネス環境の中で企業が勝ち残るための新ソリューションの開発につながっています(信國氏)。

例えば、現在継続中の新型コロナウイルス(COVID-19)危機は、国内のフィールドサービスデリバリにとってトランスフォーメーションのきっかけになる可能性があります。顧客にとって重要なサービスを提供するフィールドサービスの技術者は、安全を確保するための物理的な距離を保てなくなるかもしれません。

「パンデミックが引き起こした制約により、日本のフィールドサービス産業は、リモートから安全に作業するためにAR(拡張現実)やテレプレゼンスなどの最先端の技術を採用するべきです」(信國氏)。

強力なコンピューティング処理能力やその他のIoT機能を生かすとともに、国内の製造業やその他の企業が大規模データをARでより容易に収集、融合、可視化することにより、新型コロナウイルスの脅威に対抗するための差し迫ったニーズを満たすために、日本のフィールドサービスプロバイダはリモートワーキングソリューションを真剣に検討し始めています。

「国内の企業は一般的にこれまでリモートワーキングソリューションを追求したことがありません。なぜなら、日本は米国に比べて地理的に非常にコンパクトだからです。日本では新幹線や飛行機で移動し、サービスを提供しに訪問することはさほど難しくありません。新型コロナウイルスによって直接訪問することはリスクを伴うようになりました。つまりこうした状況がトランスフォーメーションの機会となり、サービスはバーチャルで提供されることでコストを下げ、新たなビジネスチャンスの道を開く可能性があります」(信國氏)。